24才にして
このファースト・アルバムを全米1位に
送り込んだフランク・オーシャン。
プロのミュージシャンを目指し
ルイジアナの田舎町から
大都会ロスアンジェルスに
やってきた16歳のゲイの
黒人の男の子が
その後6年間におきた
濃厚な出来事を
(高級ワインとコカイン付の
ゴムなしセックスとか)
簡潔にひそやかに
低空飛行の滑らかさで語る。
サウンドは90年代 ソウル
トニートニートニーの進化系。
FRANK OCEAN/CHANNEL ORANGE (CD)
DEF JAM UNIVERSAL MUSIC : UICD 6201 (JP 2012)
2002年9月モントリオール住む
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのコレクター
ウォーレン・ヒルが
NYチェルシー地区の蚤の市で
見つけた VELVET UNDERGROUND & NICO の
アセテート盤(75セント)は驚くことに
ヴァーヴからの正規盤とは
まったく違う別テイク&別ミックス
(1966年4月25日)だったことが判明
その後 EBAY に出品され
2006年12月16日 25200 ドル(302万円)で
落札されたものを
ユニヴァーサル・ミュージックが
更なる高値で買取り
減少し続けるアメリカのレコード店を
救うためのキャンペーンLP
(5000枚限定)として発売され
いまこうしてピーターパンで鳴っている・・・ふー。
SCEPTER STUDIO SESSIONS/ACETATE CUT ON APRIL 25,1966
UNIVERSAL MUSIC:B0017649-01/OUR SERIAL NUMBER 00628 (US 2012)
トレイシー・ソーンって
決して多くはないけれど
世界中に熱心なファンを持つ
幸せなシンガーだと思う。
トレイシー・ソーンが
クリスマス・アルバムを出した。
***
夫ベン・ワット(2009年ついに結婚)と
「EVERYTHING BUT THE GIRL」を
より完璧なものにするため
「巧い」歌手をめざし
涙ぐましい努力を続けてきた
トレイシー・ソーン
そんな彼女を知る真のファンなら
肩の力が抜けた
自宅の居間でくつろぐ
「アマチュア・シンガー」然とした
今のトレイシーの歌唱に
心から拍手を送るはず。
***
何度も聞いていくうちに
本当のテーマは「冬」なのでは
と思えてくる。
孤独とか隔絶とか
温もりとか安堵とか
冬の寒さゆえ際立つ
人間の様々な心の揺れが
多彩なカヴァー曲(自作は2曲)を通して
浮かんでくるから。
***
1. Joy (オリジナル曲)
2. Hard Candy Christmas (ドリー・パートン)
3. Like a Snowman (ステファン・メリット)
4. Maybe This Christmas (ロン・セクスミス)
5. In the Cold Cold Night (ホワイト・ストライプス)
6. Snow (ランディ・ニューマン)
7. Snow in Sun(スクリッティ・ポリッティ)
8. Have Yourself A Merry Little Christmas
9. Tinsel and Lights (オリジナル曲)
10. River (ジョニ・ミッチェル)
11. Taking Down the Tree feat. Green Gartside (ロウ)
12. Sister Winter (スフィアン・スティーヴンス)
TRACEY THORN/TISEL AND LIGHTS (CD)
STRANGE FEELING RECORDS:886506000704 (UK 2012)
ルー・ドワイヨン(30歳)は
フランスの女優で
ジェーン・バーキンと
映画監督ジャック・ドワイヨンの娘。
下のYOU TUBE 聞いてみて。
ルー・ドワイヨンは
「物語れる声」の持ち主で
シャンソンの伝統にのっとり
語るがごとく歌う。
フランス音楽界の名プロデューサー
エティエンヌ・ダオー
(ブリジット・フォンテーヌ
ヴァネッサ・パラディ他)
の力を借りた
このファースト・アルバムは
グラマラスでありながら
さらりとした印象を残す傑作。
作詞(英語)&作曲は
すべてルー・ドワイヨン。
BARKLEY : 3708868 (FR 2012)
スプーナー・オールダムと
英国とアイルランドをツアーした
ライブ録音が世界中で大評判になり
1998年12月日本公演まで
実現させたダン・ペン。
***
若き日のダン・ペンは
フェイム・レコードのスタッフ作詞作曲家だった。
フェイムからシンガーとして出したシングルは
たった2枚だったはず。
デモ録音を含め
まさかこれだけ多くの
未発表録音(24曲)がフェイムに
残っているとは知らなかった。
カントリー&ソウルの真髄といった
最近の「いなせな」ダン・ペンも
大好きだけれど
リズム&ブルース愛に溢れた
このフェイム録音も素晴らしい。
高校生でありながら
リズム&ブルースの名門
フェイム・レコードの門をたたき
アレサ・フランクリンに楽曲を
提供するまでに成長した
その道程がこの24曲の中に
びっしり詰まっている。
***高校のプロム(1960年)で
ガールフレンド・リンダと一緒に
撮った写真がブックレットに
載ってるんだけれど
来日公演のときも
リンダは楽屋にいた。
ダン・ペン71歳その実人生は
「I'M YOUR PUPPET」なんだね
と、思いきや
ステージではしっかり結婚指輪を
はずして演奏してる・・・
ミュージシャンたるもの
アフター・ステージは
「DARK END OF THE STREET」
DAN PENN/THE FAME RECORDINGS (CD)
ACE : CDCHD 1353 (2012 UK)
アメリカへ移り住んだ
ベス・オートン(英国人)
その6年ぶりの新作は
西海岸オレゴン州録音。
一流のソングライターだけど
一流のシンガー?
下のYOU TUBEを
見てもらえばわかるように
ちょっと低血圧気味の歌声は
かわいそうなくらい音程不安定
でもファンはこの危なっかしさが好き。
BETH ORTON/SUGARING SEASON (LP)
ANTI : 87118-1 (US 2012)
ニューヨークの
アンダーグラウンド・ディスコに
勇んで入ってみたら
プレイされてたのは
鳴子の温泉ディスコとおんなじでした!
みたいな元LCD サウンドシステムの
ジェイムス・マーフィーと
パット・マホーニーの
クラフトワークや
グランドマスター・フラッシュや
アース・ウィンド&ファイアーなどの
大ネタを三ツ星シェフの腕で
シンプルかつフレンドリーに調理。
「DJクールにすまして何ぼの時代」
はもうお仕舞いってことか。
JAMES MURPHY & PAT MAHONEY/FABRICLIVE.36 (CD)
FABRIC RECORDS : FABRIC 72(EU 2012)
アビー・ロードで新録音した
カイリーのオール・タイム・ベスト
ほんと良いよ。
あの「ラッキーラブ」や「ロコモーション」も
シックなアレンジがほどこされ
魅惑的に変身してる。
コメディーとはいえ意地悪な継母が
映画の主人公になったりする時代だけれど
明るく素直で善意に溢れた
カイリー=白雪姫の音楽は
永遠に不滅だね。
クイーン・オブ・ポップ
マドンナが正妻保守のため
レディー・ガガと死闘を繰り広げてる間に
将軍さまの今夜のお渡りは
50を過ぎても変わることなく
キュートでセクシーな
このちっちゃな(155センチ)オージー・ガールに
さらわれちゃったって感じ。
KYLIE/THE ABBEY ROAD SESSIONS (CD)
EMI : TOCP 71439 (JP 2012)
高円寺の「円盤」店主
田口史人さんをお迎えして
「円盤のレコード寄席」を
開きます(限定20名様)。
***
11月11日(日)17時より
入場料は1500円(ワンドリンク付)
御予約は
「人数」と「お名前」をご明記ください
当日受付もけっこうです