peter pan's blog

BEN WATT HENDRA ベン・ワット31年ぶりのセカンド・ソロアルバム

世界中の

EVERYTHING BUT THE GIRL ファンは

ベン・ワットの活動再開を

ずっと心待ちにしていたはず。

その期待はこの31年ぶりの

セカンド・ソロ・アルバムで

きっとかなえられると思う。

＊＊＊

ベン・ワットは難病のせいで

（現在も薬を飲んでいるという）

EVERYTHING BUT THE GIRL の

活動を休止。

この何年かは

ロンドンのハムステッド地区で

トレイシー・ソーンと3人の子供たちと

ごく普通の家庭生活を送ってきた。

＊＊＊

アルバムには

全10曲が収められている。

どの曲にもファンが愛する

ベン・ワット流メランコリーが

流れているが

サウンドは驚くほど普通の「ロック」。

最初は少し物足りなさを

感じるかもしれない。

でもトレイシー・ソーンの

クリスマス・アルバム（2012年）同様

何気なく聞いていると突然

このアルバムの奇跡のような

美しさにハッとする。

＊＊＊

PS:

国内盤には

6曲のボーナス・デモ・トラックが

入る予定だが

タイトルソング「HENDRA」の

ギター・フレーズはなんと

ジャクソン・フランクの名曲

「MILK AND HONEY」。

BEN WATT/HENDRA (LP)

UNMADE ROAD:ROAD001V (UK 2014)

STEVE MILLER BAND LIVE 1973-1976

以前このブログで御紹介した

スティーヴ・ミラー・バンドの

傑作ライブが2枚組で

英国から発売された。

1枚は「ジョーカー」が

全米で大ヒットした1973年

ソーサリートのラジオ局での

スタジオ・ライブ、

もう1枚は

「FLY LIKE AN EAGLE 」が

全世界的に大ヒットした1976年春の

NY ビーコン・シアターでのライブ。

特に NY ビーコン・シアターのライブは

1977年頃海賊盤で世界中に出回り

ピーターパンでも日に3回は

リクエストが来る位人気があった。

STEVE MILLER BAND/LIVE 1973-1976 (2 CD SET)

PLATIC SOHO : PLSOHO20 (1013 UK)

GEORGE MICHAEL SYNPHONICA ジョージ・マイケルのオーケストラ付ライブ

フル・オーケストラをバックにしつらえた

ジョージ・マイケルのライブ盤（2011～2012）。

故フィル・ラモーン監修の元

アビー・ロード・スタジオでの

十分な事前リハーサルの跡が

ありありと分かる完璧な仕上がり。

「ワン・モア・タイム」をはじめとする

ジョージ・マイケルのヒット曲や

ジャズ等のスタンダードに加え

デラックス版には

「ロクサーヌ（ポリス）」や

「ゴーイング・トゥ・ア・タウン （ルファス・ウェインライト）」の

カヴァーも入っている。

このアルバム最大の聞き物

「THE FIRST TIME EVER I SAW YOUR FACE」の

カヴァーはライブとは思えないほど

コントロールが効いていて

これまでの最良ヴァージョンだと思われる

ロバータ・フラッグに迫る出来。

その辺はフィル・ラモーンの指南が

あったのかもしれない。

GEORGE MICHAEL/SYNPHONICA (CD)

VIRGIN : 3769360 (2014 EU)

 

GINO PAOLI UN INCONTRO IN JAZZ ジノ・パオリのジャズ

食べたいものを食べ

飲みたいものを飲み

ヤりたいときにヤる

カンツォーネ界のベルルスコーニこと

ジノ・パオリ（79歳）は

最高にチャーミングなおじいちゃん。

ジノ・パオリの新作なんとジャズ。

ジャズとは言っても

シャーデーのジャジーを

もうちょっと硬めにしたくらいの感じ。

ジノ･パオリって

ジャズだろうがロックだろうが

年季と持って生まれた自由な心で

ロールオーヴァーしていくところが

快感。

それでいて

どんなスタイルの音楽をやろうと

「物語性」はちゃんを残してるという

まさに歌う千両役者。

GINO PAOLI/UN INCONTRO IN JAZZ (CD)

PARCO DELLA MUSICA RECORDS : MR028CD (IT 2011)

ELBOW THE TAKE OFF AND LANDING OF EVERYTHING エルボー３年ぶり６枚目のアルバム

デビューから13年

エルボー6枚目のアルバムが出た。

ヴォーカルの

ガイ・ガーヴェイの声が大好きだ。

なぜか英国からしか登場してこない

ピーター・ガブリエルやスティング

系列のアノ声なのだが

ガイ・ガーヴェイの声は

もっと透明感があって

もっと実（ジツ）がある。

この声がエルボーの音楽に

親密さと品格と陰影を

与えているのだと思う。

4月から始まる全英ツアーは

すべてアリーナ・クラスというから

英国の新国民バンドの称号は

本当だね。

ELBOW/THE TAKE OFF AND LANDING OF EVERYTHING (CD)

PRICTION/POLUDOR : 3754767 (UK 2014)

 

THE BEST OF THE BOX TOPS ボックス・トップスの最新ベスト

アレックス・チルトン（ビッグ・スター）が

1960年代後半に在籍してたバンド

ボックス・トップス（メンフィス出身）の

最新リマスター・ベスト盤が出た。

ダン・ペン（当時26歳）がプロデュースし

全米ナンバーワンになった

「あの娘のレター THE LETTER」を含む

全13曲入り。

ビートルズが大嫌いだった

ダン・ペンの意向（？）で

当時16歳のアレックス・チルトンは

これ以上ないってくらい

猥雑で真っ黒ケッケな

ヴォーカルを聴かせる。

下のYOU TUBE の

アレックス・チルトンを見ると

手をポケットに突っ込み

ノーネクタイで

（他のメンバーはちゃんとしてる）

口パク合わせる気なんて

毛頭ないって感じ。

後年REMやイギリスのパンクスに

カリスマ扱いされた理由が分かった。

THE BOX TOPS/THE BEST OF THE BOX TOPS (CD)

BELL/ARISTA : 88725473382 (US 2013)

BECK MORNING PHASE ベックの新譜

ベックの新譜だけど

圧倒的なサウンド構成力に

しょっぱなから鳥肌立ちっぱなし。

ベックは2年前

サーストン・ムーア（ソニック・ユース）の

ソロ・アルバムを

プロデュースしたのだけれど

その時の経験がこの新作に

大きく生きていると思う、

特に音像の遠近法の巧みな処理が。

このアルバムのキー・ポイントに

なってるストリングスなんて

ある時は天上界から

ある時は黄泉の国から

響いてくるからね。

（ストリングスの指揮は

ベックの実父デヴィッド・キャンベル）

このアルバムがベックにとって

12枚目になるのだけれど

世界中の最先端の

レコーディング・スタジオ・システムに

精通したベックが

歪と透明の攪乱の美を

これでもかと言わんばかりに

見せつける。

バーズに代表される

古き良きロサンゼルス・ロックの

鋭角部分を滑らかに削りとり

音と音の境界線をにじませ

ミルク＆ハニーな桃源郷世界を

出現させている。

BECK/MORNING PHASE (LP)

CAPITAL RECORDS : 602537649747 (US 2014)

DAN PENN I NEED A HOLIDAY ダン・ペンの新作

ダン・ペン（72歳）の

デモ・シリーズ第3集が届いた。

意外かもしれないが

ポール・マッカートニーや

ブライアン・ウィルソンの近作を

思い出してもらえばわかるように

「古い奴ほどデジタル音が好き」

っていうのはある程度本当で

ソウル・ミュージックの守護神のような

ダン・ペンでさえ例外ではない。

「親父ほどヨドバシが好き」と

通底するものありなのかしらん。

逆に若い世代のミュージシャン

ジャック・ホワイトとか

ブラック・キーズなんかは

中南米まで行って

アナログ機器買いまくってる。

＊＊＊

デモ録音と言いながら

ナッシュビルの重臣達が

（下のYOU TUBE のボビー・エモンズとか）

ゾロゾロ録音に参加しているから

軽く流してもこのレベル。

50年以上もアメリカ音楽界の

最前線にいてカリフォルニアに

一度しか行ったことがないという

アメリカ南部人魂の塊のような

ダン・ペンの情の奥深さに

ぜひ触れてみて。

DAN PENN/I NEED A HOLIDAY (CD)

DANDY RECORDS : DND003 (US 2013)

 

LUCINDA WILLIAMS ルシンダ・ウィリアムスの名作が再発されました

ラフ・トレード・レコードから

1988年に発売された

ルシンダ・ウィリアムスの名作アルバムが

ボーナス・ライブＣＤ付（1989年オランダ）で

再発された。

ルシンダの音楽ってちょっと聴くと

ごくごく普通のブルース・テイストの

カントリー・ミュージック。

ルシンダの音楽が特別なのは

幼少から十代までを過ごした

アメリカ深南部（ルイジアナやテキサス）や

父スティーヴ・ウィリアムス

（クリントン大統領の就任式で詩を朗読）

の仕事の関係で移り住んだメキシコの

土地の磁力が

今もルシンダの体の中に蓄電され

素敵な輝きを発しているから。

ジョン・レノンが

どれだけニューヨークに長く住もうとも

荒っぽい港町リバプールの磁力を

決して失わなかったように。

もちろんジョニ・ミッチェルから

神経過敏なところを取り去ったような

シンプルでリアルな歌詞の素晴らしさ

あってのことだけれども。

LUCINDA WILLIAMS/SELF TITLED (2 CD SET)

ROUGH TRADE US/LUCINDA WILLIAMS MUSIC : ROUGH 47 (US 1988/2014)

 

JACKSON FRANK ジャクソン･フランクのアルバムがＬＰ盤で再発

1965年に

英国EMI/COLUMBIA レーベルから出た

ジャクソン C. フランク のアルバムが

リマスターされＬＰ盤で再発されました。

プロデューサーは当時ロンドンに滞在中だった

ポール・サイモンです。

1965年といえばビートルズの出現で

アメリカのフォーク界は

壊滅状態だった時期ですが

イギリスは逆にこの頃から

フォーク・リヴァイバルが始まります。

ジョン・レンボーンやバート・ヤンシュ

それに続いてロイ・ハーパーや

フェアポート・コンベンション等が

続々デビューしたのはこの時期です。

アメリカからイギリスへ移り住んでいた

ジャクソン C.フランクは

そうした流れでアルバムを

出せたのかもしれません。

全10曲どれも素晴らしいですが

ニック・ドレイクがカバーした

「MILK AND HONEY」で始まるB 面が

コンテンポラリーな香りがあり好きです。

JACKSON C.FRANK / SELF TITLED FIRST ALBUM (LP+CD)

UNIVERSAL MUSIC/EARTHE RECORDS : EARTH 001 (UK 1965/2014)