萩原健太著
「THE BEACH BOYS DISC GUIDE」に続き
英国音楽誌 MOJO 6月号
ビーチ・ボーイズ特集の翻訳本が
あのミュージック・ライフの
シンコー・ミュージックから出ました。
のプロモーションのため
英国の名物音楽ライター
バーニー・ホスキンスのインタヴューを
ビーチボーイズ全員が受けているのですが
これがスリル満点です。
それと30人の音楽ライターによる
ビーチ・ボーイズ・ベストソング50も
面白く読めます。
それ以上に
シンコー・ミュージック版で凄いのは
ミュージック・ライフに載った
湯川れい子によるビーチ・ビーイズ
昭和41年初来日時のインタビューの転載です。
***
湯川:アル、大阪でもトルコ風呂に行ったの?
アル・ジャーディン:(恥ずかしそうに笑って)
行かなかった。東京だけ。でも、話に聞いてたほど
スリルはなかったよ(爆笑)。
***
当時アル・ジャーディンは結婚していたんですよ。
それに昭和41年頃の
ミュージック・ライフの読者のほとんどは
中・高校生だったはずです。
尋ねるほうも、答えるほうも
載せるほうも(ミュージック・ライフ)
大らか過ぎます。
THE BEACH BOYS AUGUST FROM SHINKO MUISC (JP 1012)
突然届いた故ジョーイ・ラモーン
(2001年ガンで死去)の新作は
生前のデモ録音(未発表新曲)に
ジョーイの友人達(ジョーン・ジェット他)が
新たにバック・トラックを付けたもの
これがすごい。
スタジオ内に漂うジョーイからの霊波を
友人ミュージシャン1人1人が
キャッチしジョーイの期待に応えていく・・・
大袈裟でなく
そんなスピリチュアルな輝きを持った
トラックがいっぱい。
「生前のデモ録音に後からバック」で
もっとも有名なのは
「フリー・アズ・ア・バード」by ビートルズだが
録音中のポール・ジョージ・リンゴには
ジョン・レノンの
「なんだいったいコリャ?」霊波が
届かなかったんだね。
JOEY RAMONE/"...YA KNOW ? " (2 LP SET)
BMG : 8100302-1 (US 2012)
いま評判の
「さよならアメリカ さよならニッポン」の著者
マイク・ボーダッシュが
20年前何気なく放った一言
「アメリカ中西部には
アメリカの魂があるんだよ」
シカゴ~ウィスコンシンを中心に活動する
ケリー・ホーガンのソロは
落ち着いていて親しみやすく
暖くてブッキラボウで甘い
マイクのあの言葉の見事な証明アルバム。
完璧な歌の上手さで
バック・コーラス・シンガーとしても
人気のケリー・ホーガンだが
自身のソロ・アルバムは
少々の音程やテンポのホツレも
ナチュラルな歌の体幹さえしっかりしていれば
オーケーよというスタンス。
「たった5日で15曲も録音がすんじゃって」
と語るケリー・ホーガンだが
アルバム全編
ジェームス・ギャドソン(ドラムス)や
ブッカー・T・ジョーンズ(キーボード)等が
バックなら当然でしょ。
ただいまピーターパンで
へヴィー・ローテーション中。
KELLY HOGAN/I LIKE TO KEEP MYSELF IN PAIN (CD)
ANTI EPITAPH : 87164-2 (US 2012)
アントニーは声
世界にたった一つの声
ゲイだろうがヘテロだろうが
一度耳にしたら最後
アントニー・キングダムへ真っ逆さまの
あの声。
***
セックス先進国デンマークの
国立室内管弦楽団との
競演ライブが発表された。
「毒を食らわば皿」で
音楽を作ってきたアントニーだが
初のフル・オーケストラとの競演は
ボルトの予選レベルの走りで抑え
この手の企画の息苦しさをスマートに回避
とはいっても常人は
その濃密さにフラフラだろうが。
***
アルバムをお買いになるなら
LP盤(ダウンロード番号付)がオススメ
なぜなら
ダブルジャケットを開くと現れる
「ずぶぬれのマツコ・デラックス」が
最高だから。
***
PS
ロンドン・オリンピック会期中
アントニーをホストにした
ロンドン中心部で開催されてます。
ルー・リード
マーク・アーモンド
ジョーン・アズ・ポリス・ウーマン
ジョン・グラント
アントニー & the Ohnos(大野一雄舞踏研究所)
他
ANTONY AND THE JOHNSONS/CUT THE WORLD (2 LP SET)
SECRETLY CANADIAN : SC270 (US 2012)
インド系イギリス人
ティジンダー・シンとベン・エアーズの
2人組コーナーショップ
彼らの8枚目のアルバムが出た。
ゲイシャ・ロックと同様のニュアンスで
カレー・ロックと呼んだら怒られるかな。
デビュー当時ならいざ知らず
今じゃこの2人
そう呼ばれたがってる節
ありありだと思うけど。
愛想ないのに可愛いくて
緻密に練られたお手軽路線
ポップ上級者にはたまらないはず。
CORNERSHOP/URBAN TURBAN THE SINGHLES CLUB (LP)
AMPLE PLAY : AMPLALP 034 (UK 2012)
「ALL THINGS MUST PASS 1970年」を中心とした
ジョージ・ハリソンのデモ&レア・トラック集が出た。
1965年頃のミュージック・ライフの記事に
ビートルズで一番お金にシビアなのはだれ?
の質問に対して他のビートルズ3人が
それはジョージ・ハリソン!って
即答した箇所があった。
3枚組超大作「ALL THINGS MUST PASS 」は
「タックスマン」ジョージが
「MY SWEET LORD」ジョージへ到達するまでの
一大スピリチュアル絵巻。
フィル・スペクター(プロデューサー)の
絶大なる力をかりて作り上げた世紀の傑作
「ALL THINGS MUST PASS」は結果として
ジョンとポールの影に隠れ
長年味噌っかす状態だったジョージの
逆襲アルバムになったわけだけれども
センシティヴなビートル・ジョージを
愛するファンにはゴージャス過ぎて
TOO MUCH なアルバムだった。
このデモ&レア・トラック集はそんな
アンチ「ALL THINGS MUST PASS」ファンを
大いに喜ばせると思う。
GEORGE HARRISON / EARLY TAKES VOLUME 1 (CD)
UNIVERSAL MUSIC : B0016734-02 (US 2012)
キリンジが
目の前の直接的な出来事を
歌にしたことはなかったと思う。
グーグルのサーチ・ボックスに
歌詞のいくつかを入れるまでもなく
原発のこと
そして
そのことによってあらわになった
「人間」」という生き物を
歌っているのは明らか。
いつもは隠喩に満ちた歌詞で
知られるキリンジだが
今回は直情的プロパガンダで
意味明瞭
それだけ多くの人に
この曲を届けたいということだろう。
今じゃデイ・アフターを歌った
ムーンライダーズの名曲
「夢が見れる機械が欲しい」は
万葉集的悠長さなんだな。
***
キリンジ / 祈れ呪うな / 涙にあきたなら (7" SINGLE)
NATURAL FOUNDATION NIPPON COLUMBIA (JP 2012)
ビーフハート・ファンになったのは
ロックでゲルニカ(ピカソ)やっちゃった
「DOC AT THE RADAR STATION 1980年」を
聞いてからかな。
あのアルバムの主だった曲は
1976年の発売中止アルバム
「BAT CHAIN PULLER」から
ピックアップされ再録音された
ものだったんだって。
「BAT CHAIN PULLER
鎖のように連なるコウモリを引き連れた奴」が
遂に正式発売された。
これって「ロック語」で演奏される
フリージャズだから
脳みそをルービック・キューブしてくれる
音楽ってことだね
難しそうにみえるけど
途中であきらめちゃもったいないな。
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YOU TUBE
「BAT CHAIN PULLER」
の不思議なリズムは
愛車ボルボのワイパーの音が
インスピレーション源なんだって。
CAPTAIN BEEFHEART/BAD CHAIN PULLER (CD)
VAULTER NATIVE RECORDS : VR 2012-1 (US 2012)